9月30日（金）早朝に起きる。朝あわててヨルダンにいくことに決める。なぜかと言うとユダヤ人は金曜の夜から土曜の夜にかけて安息日に入るからだ。安息日には銀行や郵便局はもちろんのことレストランや公共機関にいたるまで、さらには国営航空会社の飛行機や信じられないことにエレベーターが各階停止の自動運転になったりするとのこと。「正月明けの金曜の午前しかない」そういう考えだった。
イスラエルとヨルダンの国境は３箇所あり、南のエイラート、キングフセイン、ともう一箇所北に。キングフセインが一番近くて行きやすいのだがアライバルビザ取れないみたいだ。ヨルダンからイスラエルに入った場合は１ヶ月以内ならそのまま戻れるらしいが俺はエジプトから入ったのでビザとるか他の国境使うしかない。
金曜日の午後１時に国境が閉まると聞いたので急いだ。チェックアウトしバス停へ。「バスは今日ないよ」金曜の午前はやっていると思ったが正月と安息日つなげて休みにしたのだろうか。国境は開いているのだからバスもあるはずだと思い中央バスターミナルに向かうことにした。時間は迫っていた。アラブ人がやっているバスが中央ターミナルまで出ているとの情報を得たのだが一向にやってこない。しびれを切らしてタクシーに乗った。ドライバーはアラブ人ではなかった。タクシーは営業しているのか？それともキリスト教徒か？
初乗りは１１シェケル（約230円）。ぐんぐんメーターが上がっていった。早い。そしてドライバーなにやらボタン押している。みるとEXTRAと書いてあった。おいおいまさか。目的地に到着。着いた時金額は33シュケルと表示されていた。しかしドライバーが何やらスイッチを押した後50にシュケルに。明らかに詐欺だ、これではメーターの意味が無い。安息日でEXTRAというのは理解できるがメーターは最後に金額変わってはいけないだろう。そして明らかに自分でスイッチ押していた。３３シュケルだけ渡したが、当然突っかかってきた。「ふざけるなお前なにかボタン押していただろ？」ただでさえ急いでいてそして出費がかさんでいた所にこれだったので相当イライラしていた。金を投げつけるように渡し車を降りる。するとドライバーも車を降り俺の腕をつかんできた。「払え！」その時他のタクシードライバーがやってきた。「どうしたんですか？話聞きますよ」すかさず俺を乗っけたタクシードライバーが口を開く。「こいつ金払わないんだ！」俺も負けじと「俺はこいつがなにかボタン押すのを見たんだ！そしてそれにはEXTRAと書いてあった！着いて料金が倍近くなるなんておかしいだろ！」すると「そのボタンはストップボタンだ。料金を停車中に止めたんだよ。お金払いなさい。」とかけつけたドライバー。なんてやつらだ。強引に腕を振り払い去ろうとした。するともう一人のドライバーに今度は肩をつかまれる。「警察につれてくぞ！」こんな調子じゃあ警察なんか行けるはずもない。二人でどんな証言されるか分かったもんじゃあないし、またこいつらがユダヤだったなら警察だって必ず肩持つだろう。諦め金を地面にたたきつけその場を去った。
中央バスターミナルは閉まっていた。これだけ急いで金も無駄にして結果ヨルダンにも行けない。歩いてダマスカスの宿に戻ることにした。日曜日までここに滞在か。途中新市街の辺り通ると開いている店が多かった。そうキリスト教地区やアラブ人地区は開いている。彼らにはユダヤの休日とは関係ない。
エルサレム旧市街は世界三大一神教と呼ばれるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の聖地である。これらの三つの一神教では当然ながらそれぞれの生活のリズムは異なる。金曜日は金曜日はイスラムの礼拝日（ジェマア）だが、金曜の日没から土曜の日没までがユダヤ教のシャバット（安息日）で、日曜日はキリスト教の聖日と続く。ムスリムにとって土曜日が、ユダヤにとって日曜日が、それぞれ週の最初の勤労日になるし、クリスチャンにとっては金曜日が週の最後の勤労日となる。《参考：イスラエルにおけるユダヤ教超正統派の思想と行動 リンク アクセス日：2011/１2/25》
まったくややこしい。翌日アラブバスに乗りアラブ人地区であるパレスチナにてヨルダンビザを取得した。そしてそのままヨルダンへ入国。そしてその日クリスチャンのレストランで食事したことは言うまでもない。
写真はエルサレム旧市街
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