時間がくねくねしてなくてよかった

答えは人それぞれですが、何かを考えるきっかけになるようなブログを目指してます

近所



俺がお世話になっていたビビアン一家の家は中心地から離れたところで熱帯植物に囲まれた、それは観光客が来るようなところではなかった。近所の外人は俺だけ。みんな初めは珍しがってじろじろ見ていたが次第にみんなと仲良くなって俺もその地域の一員となることが出来た。

大学まではジープニーを使っていたが、家からジープニー乗り場までは一本道。その通りでは毎朝、毎晩何人もの人にすれ違い、あいさつをする。その通りから人々の生活が垣間見えた。

まず家を出て会うのはビビアン家が雇う警備員。あいさつをして扉を開けてもらう。しかし居眠りしていることも多くあまり警備員として役立っていないようだった。その扉を抜けると人だらけ。熱帯植物に埋もれていまにも壊れそうな小屋に人が暮らしていた。そこは例えて言うなら難民キャンプのようであった。キッチン、トイレ、シャワーは外。キッチン、トイレ、シャワーといっても実際はそんなもの存在しなくて、それは全て天然のものだ。

彼らの朝は早い。当時俺は6時頃おきてジョギングをしていたが、その時間にはもう彼らは起きている。眠い目をこすりながら見た光景に俺は自分の目を疑わざるを得なかった。早朝からバレーボールをやっていたのである、それもものすごく真剣に。上半身裸の引き締まったボディーから放たれるスマッシュ、ほとばしり輝く汗、そしてものすごい集中力を感じさせるまなざしは、すでに趣味の域を越えていた。どこかのプロチームか?そう思わずにはいられないくらいうまかった。まあ毎朝あれだけ真剣にやってればうまくもなるはずだ。夕方になるとそのバレーボールコートはゲイの選手で埋め尽くされる。夕方家に帰ってくると「ヨジロ〜」と気持ち悪い声でよく呼ばれたものだ。しかしプレー中は完全に男に戻る。

フィリピンはバスケが大人気だが家の近所では断然バレーボールが人気だった。しかし早朝からおっさん達がバレーを真剣にしている姿は面白かった。彼らの多くはトライシクルの運転手で朝と夜の出勤時間以外は寝ているか、酒飲んでいるか、バレーしているかだ。

ジープニー乗り場へと続く細い路地にいくつもローカルレストランが立ち並ぶ。そこの料理のうまいのなんのって。いつも寄っていたバーベキュー屋のにいちゃんから、うまいコーンシログやパンシットカントンを食べさせてくれる店のいつも寝ている受付の姉ちゃんまで、はたまた砂糖がかかりすぎているが病み付きになるパンケーキを焼く愛想のいいおばちゃんまで、知らない人はいない。疲れたときに癒しててくれるあの焼バナナの優しい甘さ。24時間営業している地元民御用達のバーでレッドホースと一緒に食う「Tempura」とかかれた怪しい天ぷら風の食べ物。酒飲んで夜中の2時くらいに仕事帰りの売春婦と一緒に食べるカントンとライスのコンビネーションや、20円の怪しいハンバーガーのしょっぱさ。おなじみバーべキューとぱさぱさしたハンギングライスそしてあの酸っぱいソース、それが汚いメラニン質の皿の上で渾然一体となった様はもはや言葉では表現できないくらい、うまい。あの狭い通りには俺の食欲を満たしてくれる全てが揃っていた。

夜中飲んで帰ると真夜中だと言うのに子供達が集まっていつも酒を飲んでいた。子供達の間で流行っているのがタンドゥアイにオレンジを入れて飲むというもの。だから子供は酒の飲み方わかっちゃいないんだと一杯いただいてみるとこれがうまかったりして。すっかり混ざってしまったり。夜中に帰るときはいつもお土産のつまみを買っていってやった。そんな彼らはいつも酒飲んではちゃりんこで爆走していた。昼間にあったことはない。

クリーニング屋のおばちゃん元気かな?ネット屋のおばちゃんドイツ人の旦那さんとうまくいってるだろうか?

小さなセブの小さな町の小さな村の通り道、どこにでもある風景、だとしても俺には俺の心の中に確実に焼き付けられた、かけがえのない場所になった。

写真は近所のやんちゃ達

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