時間がくねくねしてなくてよかった

答えは人それぞれですが、何かを考えるきっかけになるようなブログを目指してます

好奇心とリスク



ティヌリールの近くにはチュトラダニという美しい谷がある。ティヌリールからほんの乗り合いタクシーで20分のところだ。ある日ひとりでチュトラダニを訪れた。山で洞窟にすむ人々にはチュトラダニからいけるという情報も入手していたので、その確認も兼ねていた。チュトラダニで遊牧民について訪ねると歩いて2時間ほどでたどり着くとのこと。道はガイドなしではいけないとのことで、そのガイド料は日帰りで500ディルハム。家に戻りハミッドに尋ねてみた。すると洞窟までいかないが途中の渓谷までならただで連れて行ってくれるというのだ。なにかたくらんでいるのかと聞くと、「お前は友達だからいいんだ。まだ信用できないのか?」とくる。いいやつだが、実際まだ金をせびってくるのではとは考えていた。しかしお願いすることにした。

翌日、昼食を購入して渓谷を目指すことに。思ったよりも簡単でわずか1時間半で到着。道はそんなに険しくもなく、また迷うこともなさそうだった。目的地だという渓谷で昼食を食べた。ここから1時間ほどで洞窟にたどり着くという。連れて行ってくれといったが駄目だった。こうなったら一人で行くしかない。

帰りは別のルートを通るというのでハミッドの後について歩き出した。行きより険しい道で、道というよりは崖を下っていく感じに近かった。近道に違いなかった。しばらく進むと絶壁のところに出て行き先がなくなってしまった。ハミッドを見るとキョロキョロしている。迷ったのだ。「どうだ、いい景色だろう?」といってごまかしてきたが落ち着かない様子だ。するとそのとき犬の鳴き声が。野犬2匹。吠えながらじりじり近づいてくる。するとハミッドが大きな石を持ち上げ犬にめがけて投げつけ声を上げた。犬を刺激してしまうんじゃあないかと心配したが犬はうまく逃げていってくれた。全く恐ろしい。その後なんとか無事に家に戻ることが出来た。

一人で洞窟にたどり着くために言葉を習うことにした。何かあったときに重要になる。必要と思われる言葉を日本語で箇条書きにしておき端からハミッド達に聞いていく。ガイドや寝袋など、一人でいくことを連想させるような言葉は避けながら。

いよいよ洞窟へ向けて出発。情報収集に何日もついやした。町で食料など買い込む。貴重品は部屋に置いて鍵をかけておいていくことにした。貴重品はカメラのみあとは小額の現金。あと持ち物は水2L、缶詰3缶、チョコレート、パン、ライター、コンパス、会話帳、靴墨。靴墨は迷わないために印をつけるために購入した。

出発の朝7時に起床。もう少し急ぎたかったが、タクシーは拾えない。「山に行くなら荷物すべてもっていけ。ここには置かせない」ハミッドは一人で行くことに反対だった。しかし何かあった時に迷惑がかかるのは確かだ。仕方なく荷物を全て持ち山のふもとの宿に置くことにした。

ハミッドといったポイントまで1時間で到着。そしてそこから洞窟があるという方角に歩いて向かった。慎重に道を確認しながら。1時間ほど道づたいに歩いていくと遊牧民に遭遇。山をくだっている途中のようだった。彼女のきた先を見てみると人が何人か遠くに見えた。ついに発見することができた。洞窟だ。くり抜かれた山に人が確かに住んでいた。持ってきた食料を配りコミュニケーションを試みた。習った言葉を使ってはみたが、とても保守的なのかコミュニケーションをとろうとしない。お茶なんかもらいしばらくそこでボーっとしていた。泊めてくれと手振りで伝えたが首を横に振られてしまった。

情報を入手してから約1週間。慎重すぎるほどに情報を入手して準備した。たとえ2〜3時間ほどであっても知らない山に一人で行くというのは無茶だったかもしれない。しかしここは海外、安全なシチュエーションで山登りなんて出来ない。山は確かに危険だ、しかしもっと危険なのは人任せにするということだと思う。ガイドを雇えば安心なんてことはない。むしろ危険になる可能性が高い。信用できないガイドほど、「山の人間たちは狂っていて襲ってくる」とありもしないようなことを言ってきた。しかし山にひっそりと住んでいる人たちがそんなことをしてくるなんて思えないし、また信用できる人は口をそろえて彼らのことを素朴な人たちだと言っていた。へたにガイドを信用して山奥で襲われてしまうほうがよほど確率が高いだろう。自分の身を守るためには十分すぎる情報と準備が改めて必要だということを再認識させられた。

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