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ラマダン中のエジプトの様子

ラマダン中のエジプトの様子を書く。静かに断食しているのかと思ったのだが、予想に反して意外とお祭りモードだった。

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革命以降の状況

エジプトでは2011年の革命以来、テロ事件が相次ぎ発生していて、主要産業である観光業が大打撃を受け、外貨獲得は著しく低下している。そして観光業が復活する見通しはまだ立っていない。

 

変動為替制に移行

2016年11月、エジプト政府は外貨不足を補うためIMFから資金融資を受けることを決めた。3年間で120億ドルの資金融資を受けるための条件として、変動為替制に移行することとなった。

 

インフレで家計に打撃

それまで1ドル=8.8エジプトポンドに固定されていたレートは市場にゆだねられることになり、現在は1ドル=17.8エジプトポンド(2018年5月20日現在)で推移している。固定相場制の時に比べ大幅にエジプトポンド安となったことにより、輸入品の価格は高騰し、2017年の夏にはインフレ率が30%を超えるなど、中間層以下の家庭に大きな打撃を与えている。エジプト国有の日刊紙アルハラムの記事によると、2018年に入ってからはインフレ率はクールダウンしていて、3月は13.3%、4月には13.1%まで低下(エジプト政府統計庁CAPMAS調べ)したというが、依然としてインフレはエジプトにおいて深刻な問題となっている。

 

ラマダン中の食費の支出は増加する

しかしそのアルハラムの記事によると、深刻なインフレにも関わらず、ラマダン中は他の月に比べて食費が40%も上昇するのだという。深刻なインフレであれば、それこそこの期間にこそ節約をしそうなものなのだが、どうやら違うらしい。本来、ラマダンは貧困者の気持ちを分かち合う神聖な行いで、理想的には食費はおよそ大きく低下しなければならないはずだが、なんとも景気のいい月になるようなのである。ラマダン中はナッツなどの嗜好品を食べる事が多いと聞くが、アーモンド1キロの値段は350エジプトポンド(約2100円)と高額だ。

 

アメリカのシアトルに本社を置く、労働者個人からの投稿を元にした世界中の給料情報や補償内容を閲覧できるサイトを運営するPayScaleの情報を見てみると、エジプトのカイロで働く労働者の平均年収は84800エジプトポンド(5月20日時点)で、日本円の月給に換算すると約42400円。1キロ2100円のアーモンドはあまりにも高級品だろう。

 

アルハラムは同様の記事の中で、ある社会学者の見解を載せてのせていたのだが、その識者は神聖なラマダン中に飲食の消費量が増えているのは「悪い習慣」と述べていた。そして「その悪習は湾岸諸国からもたらされている。20年前はこんなことはなかった」とエジプトは被害を被っているといった論調で、その理由は全く述べられていないというお粗末なものだった。

 

宗教ビジネスとは異なるだろうが

ドバイなどではラマダンになると花火やライブなどのイベントが各地で行われ、まさにお祭りのようになるという。サウジアラビアでは、メッカへ巡礼に行くムスリムをターゲットにした欧米資本の高級ホテルが多く建設されているというが、エジプト人の同僚の話によれば「ムスリムは生涯に一度はメッカに巡礼に行くことが理想とされているが、経済的に恵まれている人間は複数回何度でも巡礼に訪れる」とのことだ。そのような「宗教ビジネス」とも呼ばれるような現象がエジプトでも起きていると、アルハラムに見解を述べた社会学者は言いたいのだろう。ムスリムの神聖な行事がイベントやお祭り化しているのだと。

 

お祭りモードは拭えない

「ラマダン中は特に貧困者に分け与えるんだ」という話をラマダン前に同じ同僚に聞いたのだが、おそらく一部の団体において活動はあるのだろうがあまりみかけなかった。近所では日没後に屋台のレストランやカフェで食事や飲み物を楽しんでいる人に貧困者が近づいて行っても、いつもと変わらず結構知らん顔で食事をしている人も多い。そしてラマダンでは日没後にいつもより贅沢な食事をたくさん食べるのだ。日没はこの時期はおよそ6時45分くらいだが、日没前になると外のレストランには5時半くらいから席を陣取り、6時30分には料理を注文し、いまかいまかと食べ物を目の前にして食事を待っている人々がたくさんいる。近所の屋外レストランではいつも以上に多くのテーブルや椅子が置かれているし、少し高級なレストランではデーツ(ナツメヤシ)やドリンクの無料サービスをしているところもあった。半日我慢した食事を楽しみに待つ人々を非難するつもりはないが、なんだかクリスマスとかハロウィンとか経済効果のあるイベントのようなお祭り感がただよっているのは、見ていて拭えなかった。

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