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イスラム教徒がテロを起こす理由を考察

イスラム教徒はなぜテロを起こすのか。もちろん、ほとんど多くのイスラム教徒は敬虔で穏やかな人が多いのだが、一部の過激派と呼ばれる人間によるテロ事件が後を絶たない。ここでは、様々な要因がありそれぞれの人間がテロリストになる理由が異なるというよりは、テロリストが醸成されていく一連の流れがあるのではないかという仮定のもと考えていきたい。次の3点に着目して考察を進めていく。

 

◎きっかけ

◎継続できる理由

◎命を投げ出せる理由

 

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1.テロリストが生まれる要因とは

まずは2017年11月24日にエジプトのシナイ半島北部の村で発生したテロ事件をみていきたい。ISの分派である「シナイ州」というテロ組織が、礼拝中のイスラムスンニ派スーフィズム神秘主義)の信者をターゲットにしたテロで、約300人が亡くなった事件だ。

 

犯行組織と見られる「シナイ州」の元の組織はシナイ半島を根城にするアンサル・ベイト・マクディス(エルサレムの信奉者)。2014年11月にISに忠誠を誓い、「シナイ州」となった。以来、同組織はキリスト教の一派コプト教徒や警察、治安部隊の拠点などに対するテロや襲撃を繰り返してきた。勢力は約1000人といわれる。

~中略~

それにしても、今回の大掛かりなテロがなぜ、かくも容易に実行されたのか。事実上の軍事政権であるシシ政権は「シナイ州」が跳梁跋扈するシナイ半島北部で、「疑わしい者は根絶やしにする」という厳しい弾圧政策を取ってきた。このため実際には過激派とは関係のない住民が軍によって即席処刑されたり、村全体が解体されることも希ではない。

こうした苛烈な軍のやり方に反発して過激派に協力するベドウィン住民も多く、これが過激派壊滅を困難にしている一因だ。また過激派が勢力を拡大する理由としては、エジプト政府が過去、シナイ半島北部の開発を顧みず、いわば切り捨ててきたという側面がある。元来遊牧民であるベドウィン中央政府から“2級市民”の扱いを受けてきた。ベドウィンの政府に対する不満は「シナイ州」を育む土壌となった。

(引用:WEDGE Infinity『IS分派の復讐が始まった、エジプトテロの暗示するもの』)

 

この事件を見てみると、疎外感というものが明らかにきっかけになっている。差別を受けて虐げられてきた人々の反抗心が醸成されてきたのだろうと想像できる。そしてそこから派生した世間への復讐心が芽生えている。きっと彼らはまじめで思い込みが激しく、自己犠牲という綺麗な言葉と共に悪を成敗することをいとわない。悪に一矢報いる正義だと信じている。自分たちは正しいことをしているんだという気持ちが強い。それはイスラム教のジハードという考え方に合致している。 

 

ジハードは本来〈努力〉〈奮闘〉の意味で,日本では〈聖戦〉と訳されることが多いが,厳密には正しくない。ジハードは,イスラーム聖典コーランクルアーン)》が神の道において奮闘せよと命じていることが根拠とされる。ジハードは,《コーラン》に出てくる〈神の道のために奮闘することに務めよ〉という句のなかの〈奮闘する〉〈努力する〉にあたる動詞の語根jahada(ジャハダ)を語源としており,アラビア語では〈ある目標をめざした奮闘,努力〉という意味。しかし,《コーラン》においてはこの言葉が異教徒との戦いを指す場合にも使われており,これが異教徒討伐や非イスラム教徒との戦争をあらわす〈聖戦〉の意に転じたといえる。(平凡社百科事典マイペディア』より引用

 

2.なぜ彼らはテロ行為に至るまでの思想・行動を継続できるのか

疎外感があり、復讐心が芽生え、自分たちが正しいことをしているというその意識の元、同志があつまり、連携が生まれていく。連携が生まれる一番の要因は倒すべき大きな敵がいるということだ。対立するものがあるということは、組織の連携が生まれる一番の要因となる。

 

一つの目標に向かって連携できるこれ以上ないシチュエーションともいえる。しかもその行為に命を懸けているのだ。やりがい、使命感、価値、意味、自分が生まれてきた理由、人との繋がり、人との協力、協力することで生まれるパワーなどを実感でき、必要なスキル・知識の向上意欲を維持でき、見方によっては承認欲求と自己実現に関するあらゆるものが手に入る。復讐心がきっかけになっているのかもしれないが、テロを続けていく過程である種の楽しさも得ているのではないか。人は楽しくないものはそれほど継続などできないはずだ。一つの目標に向かって連携が強固なものになっていく過程で、これまでの疎外感を吹き飛ばす自分の価値をそこに見出し、大きな生きがいを感じながら、極めて幸福な状態が継続している可能性がある。

 

3.イスラム教徒が命を投げ出してまでテロ行為を出来るのはなぜか

イギリスの進化生物学者であるリチャード・ドーキンスはその著書「神は妄想である」の中で、宗教はなぜ生まれて、そしてなぜ存続しているのかを説いている。ドーキンスは「宗教はそれ自体の生存価値を持っていないのかもしれないが、生存価値を持つ他の何かの副産物なのかもしれない」と言っている。

宗教とは何かの副産物というが、それはどういうことか。ドーキンスは分かりやすく蛾が蝋燭の火に飛び込む例で説明している。蛾が蝋燭の火に飛び込むのはよく知られているが、それは決して焼身自殺などではなく、光を頼りに進路を決めるという蛾の持つ能力から発生した不幸な副産物だ。

では宗教は何の副産物なのか。ドーキンスは「疑いを持たず服従する行動」の副産物なのだと説く。子供は親の言うことを聞かなければならない。赤信号は止まらなければ車に轢かれてしまう。つまり「疑いを持たず服従する行動」は生存上の価値があるということだ。だから子は無条件に親に従う、また親は従うように教育する。そしてそれは裏を返せば、奴隷のように騙されるという子供の弱点、副産物を生み出すということに繋がる。

そしてドーキンスはこう続ける。「そこから自動的に導かれる結果として、信じやすい人間は正しい忠告と悪い忠告の区別を持たなくなる」と。強く教えられ、教化されればされるほど、子供の生存率は上がる。しかし親の言うことを聞く子ほど生存率は上がるが、「判断力が鈍る」という副産物を生み出す。自然淘汰で生き残るのはそのようなDNAを持った人間ということで、そして教化された子供がやがて大人になり、そしてその子供にはさらなる教化がなされていくということになり、その「濃度」が増していくということになる。

その「濃度」が増したイスラム教徒が増えているのかもしれない。自爆テロを実行するイスラム教徒は若い人が多い。それは、そのように強く教化された若者が増えてきていることを示しているのかもしれない。物事の良し悪しを判断する能力よりも、信じる力がより教化されている若者だ。そして、蛾がまるで焼身自殺をするように火に飛び込むように、自爆テロを起こす若者という副産物も、これから無くなることはないのかもしれない。

 

漫画だとイスラム教の理解が進みやすいです。私も購入して読みましたが、おすすめの漫画です。Kindle版もあります。


コーラン (まんがで読破 MD133)

 
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