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TOEICは通訳を意識した試験であると感じた理由

最近、TOEICの勉強を始めたが、気がついたことがあるので書いておこうと思う。

 

TOEICはビジネス英語だが、やはり実践英語を追求しているなと感じる。

 

実践英語とはなんだろうか。それはやはり通訳という仕事が重視されるのではないかと思う。当然、英語を学習する人で通訳という仕事に専属で就く人は少ないのだけれど、社内で通訳的な役割を果たす人は今後もっと増えていくに違いない。英語を喋れる人だけが情報を消化するということはなく社内での情報の共有は当然必要なので結局それは通訳に他ならない。

 

最近は以前と比べて自動翻訳の精度がぐんと上がってきていると感じる。Google翻訳は10年ほど使っているが、やはり精度は以前と比べて上がっている。このままいけば翻訳という仕事はなくなっていくに違いないとすら感じるレベルだ。

 

だが通訳というスピード感を伴う英語のスキルを活かした仕事はこれからもそれなりに需要は継続していくだろう。日本でも英語を扱える人口は増えていくかもしれないが、通訳という作業は翻訳と異なり学校で机に向かっていても鍛えられないし、外国人講師による授業が増えてもスピーキングというアウトプット行為は生徒一人一人が授業で行うことは物理的に不可能なのでやはりその分野での大きな変化はそれほどのスピード感を伴わないと思う。また、エジプトでGoogle翻訳を使ってアラビア語を翻訳してエジプト人と仕事をしていたこともあったが文字通り機械的な音声ではタイムラグも気になるしまともなコミュニケーションは取れなかったし会話が機械に取って代わられることは無いなと確信した。

 

TOEICの問題を見ていてやはり思った。通訳スキルに必要な能力を求めているのではないかと。まずはリーディングだが、どうやら2016年から問題数が増えるなど圧倒的に文章量が多いのが特徴となっている。これが何を示しているかといえば、早くそして正確に読む能力が必要ということだ。ちなみに問題文を先に読んで回答するということができないようにうまく作られていたりするので基本はほぼ全てきちんと読まないと厳しい。どうして通訳において文章を早く読む必要があるのかといえば、話すスピードと同じくらいのスピードで文章も読んで理解できなければならないからだ。だからリーディングの内容は難しくなく、それなりに英語をやっている人であれば読んで理解できないという箇所は少ない。そこそこの英語を素早く理解する能力、やはり実践的な英語を使った仕事つまり通訳につながる気がしてならない。ちなみに英検とは全くリーディングのレベルが異なる。英検は難しいがそれほどスピードは要求されない。英検の問題からは翻訳というイメージが持てるが、TOIECからは全く翻訳というイメージに繋がらない。ビジネス英語を謳っているTOEICが翻訳を意識していないということはやはり将来的に翻訳の仕事はなくなるのではないかと思う。

 

そしてリスニングだが、英語の音を聞き取る問題というよりも、内容を理解して正しい情報を保持できているかが重視されていると感じる。難しい言い回しだったり、難しい内容は問われず、やはりシンプルな会話を正確に掴むことが求められている。英検準一級の場合、聞き取りにくいが内容はざっくり覚えていれば選択肢はほぼ問題なく答えることができるが、TOEICの場合、聞きやすいが結構細かな内容の記憶保持が要求される。これはやはり通訳に必要なリテンション(保持・維持)というスキルを問われている気がしてならない。通訳者の仕事には逐次通訳というものがあり、それは一定時間話手が話した内容を順を追って日本語もしくは英語にするというものだが、内容を理解するのは当たり前なのだがさらに話した内容を覚えておかなければならないという難しさがある。もちろんメモなどを取れる環境であれば取ったりもするがそんな時間がなかったりメモに捕らわれて内容が次に進んでしまうなどの問題もあるのでどうしてもリテンション能力が必要となってくる。その短期的な記憶の保持能力を問う問題がTOIECは英検の試験よりも多いと感じた。これはリーディングで多くの文章を読ませて回答させるということからも見て取れる。読み終えて何が書いてあったかをある程度覚えていないとなんども読み返してしまうことになるが、実際の通訳の現場などではそれはできないし、TOEICの試験でも読み返す時間などないように文書量と時間が設定されている。リーディングという通訳と結びつきづらい能力を極限にまで近づけようとした結果にたどり着いた問題形式のような気がしてならない。

 

ちなみにこの間YOU TUBEでサッチャー首長の通訳などもこなしたという日本を代表する通訳者が話しているのを聞いたが通訳に必要なのは英語力はもちろんとして話し手に関する知識が重要で小泉首相が郵政改革について喋ると分かっていれば話す前から内容を予測することができるしガンジーの通訳をした時にはあまりにも聴衆がうるさく何を言っているのか一つも聞き取れなかったので前の演説で言っていた内容と全く同じことを通訳しているように喋ったなどと話をしているのを聞いた時には通訳者に一番必要なのは本当は図々しさなんじゃないかと思った。