時間がくねくねしてなくてよかった

答えは人それぞれですが、何かを考えるきっかけになるようなブログを目指してます

RED HORSE



セブの大学に通っていたときアパートを借りて住んでいた。大家さんのビビアン一家も隣に住んでいた。

セブは常夏、いつも暖かい。いつも暖かいのでいつも飲んでいた。「ヨジロ!」大学の授業を終えて家に帰るとたいがいは誰かが家の前で飲んでいる。そしてグラスを差し出される。実に気持ちがいい。どうしてそんな誘いを断れようか?セブの星空の下飲む酒のうまいのなんのって。年が一個違いのビビアンの弟エースは本当に酒好きでいつも外で酒を飲んでいた。それとカナダから一時帰国している同い年のポポイ。彼は初対面のときに酒を飲みながら俺を結婚式に呼んでくれた熱い男だ。大学の授業と家庭教師で疲れ果てた俺にはそこはオアシスであった。

サンミゲルというフィリピンの商社がセブのビールシェアのほとんどを占めている。その中でも地元の人々はレッドホースというビールが大好き。洒落たレストランなんかには置いてない生粋のローカルビール。アルコール度数が7%のストロングビールだ。その辺の小売店でもどこでも買える。1リットルビンで確か80円くらい。

セブワノの酒の飲み方は俺は好きだ。みんなで飲むとき使うグラスは一個だけ。ひとつのグラスでみんなで回し飲みをする。また、レッドホースに氷をいれて飲む。チューブ状の氷も一緒に買ってくるのだ。こいつをナイフで豪快に切りグラスに入れる。初めはビールに氷いれて飲むのは許せなかったが、これが慣れると病みつきになってくる。氷を入れて冷やすことで悪酔いを防ぎ、また回し飲みをすることで一人だけ飲みすぎることも無くなる、すごく合理的な飲み方だ。馬鹿みたいに一気飲みするやつはいない。

他の酒を飲みときも一緒だ。他の酒といっても俺はタンドゥアイラムしか知らない。これは後半戦になると登場してくる酒。赤いラム。タンドゥアイを飲んでココナツジュースで流し込む。ココナツジュースは食道と胃に優しいだけでなくアルコールを分解してくれるのでこれも合理的だ。吐いてしまうだの翌日頭が痛いだのそういうことは起きなかった。それに彼らはきちんとご飯をたべてから酒を飲む習慣がある。これも酒を飲むには大事なことだ。酒の飲み方、楽しみ方を熟知している。

近所の人が誰でも構わず飲みに参加してくる。そんなときでもエースは手際よくグラスにレッドホースを満たし順番に回していく。次から次へとボトルが空になっていく。本当に知らない人も混ざってくるようで、あるとき飲んでいたらだんだん人数増えていって10数人って時があった。一人の知らないやつがポポイがグラスを作っていたにもかかわらずもうひとつグラスを作り始めて飲み始めた。「ヨジロ、あいつのグラスは飲むな、俺のグラスだけ飲め」レッドホースを通じてだいぶ友情が培われた。

この酒のうまさを知らずしてセブは語れない。なぜならレッドホースを愛するということ、それはすなわち地元の人を愛するに他ならないからである。

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