時間がくねくねしてなくてよかった

答えは人それぞれですが、何かを考えるきっかけになるようなブログを目指してます

出発



洞窟を発見するという当初の目的が達成されたので、ティヌリールを出ることを決意した。出発の朝、皆に挨拶をした。宿泊費と食費を自分で全て計算し、ハミッドに渡した。金額が間違ってるとかまだ言われるんじゃないかと心配していたが、彼は文句を言うどころか俺が渡した金を確認することもしなかった。「俺はお前を信用しているから」。金の亡者であろうハミッドから出た言葉とは思えなかった。少しでも、もっと請求されるのではと思っていた自分が恥ずかしかった。

いつも陽気なハミッドは顔はエディーマーフィーそっくりだ。映画「星の王子ニューヨークへ行く」のエディーマーフィーを連想させる陽気さ。いつのまにかハミッドの顔を見るだけで笑うようになってしまった。そんな俺がいやじゃないみたいで「アブドゥルー、ムラミー」と言ってはじゃれてくるようになった。「ムラミー」とは友達という意味。「アブドゥル」はここでの俺の名前だ。暇さえあれば、砂漠いけやら、山いけやら、説得してきた。そんなしつこさも日常の一部分に変わっていき、そのやりとりを楽しむようになっていった。

彼らにしてみたらそれが日常なのだ。生まれてきて親父がそうであり、兄弟がそうであり受け継いできただけのもの。根はいいやつらだ。はじめは本当にイライラしていた。いつも金を取ろうとしか考えてないようで。しかし、次第にそういうものだと理解することができるようになってきた。これが2,3日で出ていたら、ただイライラして終わっていただろう。朝から晩まで一緒にいた。だらだら昼まで続く朝飯、夕方前に出てくる昼食、マーケットにブラブラしにいき家でみんなで晩御飯。人を理解するには本当に時間が必要だ。俺は少しは理解できただろうか?

きっと俺にとっての旅のコツは、ひとつの国でいろいろ回らないことだ。一箇所に中長期滞在する。一箇所がその国の模範になることもできるだろうし、また次から次へと側面ばかり見ていく旅は味気のないものだろう。一箇所で出来るだけ内面まで見ようとトライしてみるのがいいのではないかと最近思う。通過されるだけのなにもない町に滞在してみる、これが旅の醍醐味になりそうだ。

しばらくアタイをいただきながらみんなと話をしていたが、バスの時間が迫っていたので出発することにした。「あと1泊していけ、そんなに急ぐことないだろう」そう言ってくれた。みんなと別れのあいさつをした。そして、ハミッドが首飾りを俺に手渡しながらこう言った。「お前はファミリーだ、いつでも遊びに来い」。金を使わずにアラブ圏の人と仲良くなるという目標は、とりあえず、この言葉をもって達成ということにした。

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