アフリカを旅する前に作成した熱帯熱マラリア対策を紹介する。アフリカでは最大の脅威と考えていた熱帯熱マラリアに罹って死なないよう、自分なりに情報をまとめた備忘録だ。
これは熱帯熱マラリアに特化した旅行用マニュアルで、三日熱、四日熱、卵形マラリアを想定したものではない。また熱帯熱マラリアに関するネット上の情報や人からの話を収集・比較・引用したもので正確な情報とは言い切れない。比較的信頼できそうな情報を元にまとめたのでこれからアフリカ旅行に行かれる方に少しでも参考になればと思う。
あくまでも、参考程度に。渡航時期、渡航先、旅のスタイルは人それぞれなのでアフリカに行かれる際は自身でマニュアルを作成することをお勧めする。
- 熱帯熱マラリアの予防策
- 熱帯熱マラリアの予防薬
- 熱帯熱マラリアかどうかの判断
- 熱帯熱マラリア対策の治療薬
- 熱帯熱マラリア対策の病院選び
- 熱帯熱マラリアで病院の医師と対面した場合
- 熱帯熱マラリアで入院
- 熱帯熱マラリアで入院中は安全管理に念を入れる
- 熱帯熱マラリア対策は徹底的に
- 熱帯熱マラリア対策の参考WEBサイト
熱帯熱マラリアの予防策
熱帯熱マラリア対策には、蚊に刺されない工夫をすることが大切。基本的なことだが、徹底できるかどうかは難しいことと自覚するべき。
熱帯熱マラリアを媒介するハマダラカの習性
- 夕方から朝にかけて活動が盛んになる
- 足首やひざ下を好む
- 水場を好む
- 気温が高いと活動が活発になる
- 標高の高いところには出現しない
- 汗のにおいを好む
蚊に刺されないための対策
- なるべく厚めの白い長袖を上下身につける
- 靴下も同様に白く厚手のものを身に着ける
- 靴下は特に徹底する
- 短パンは穿かない
- 服の上からも防虫スプレーをする
- 蚊取線香をたく
- 蚊帳を使用する(その際破けてないかきちんと確認する)
- 蚊帳にも防虫スプレーをする
- 泊まる部屋に隙間はないか確認する(あればふさぐ)
- 宿選びを慎重にする(泊まる前に宿泊者などに聞く。蚊が出るかどうかストレートに)
- 涼しい部屋を選ぶ
- 3階以上の階層の高い部屋に泊まる
- 汗のにおいを好むので清潔に保つ
- 部屋の温度調節できるならする
熱帯熱マラリアの予防薬
熱帯熱マラリア対策の予防薬の第一候補
マラロンMalarone(商品名)
Atovaquone and proguanil hydrochloride(薬剤名)
GlaxoSmithKline(製造元)
マラロンの金額
1箱12錠で70−100UDドルとの情報。高価な物の為小さな町での入手は難しい可能性がある。
マラロンを選んだ理由
この薬に耐性を持っているハマダラ蚊の報告が極めて少ないことと副作用も軽くて済むケースが多いため。
マラロンと同様の効果が期待できより安い薬
マラニール(Malanil)という似た名前の薬がある。同じ製薬会社によって作られたもので成分はマラロンと全く同じ。製造場所と販売されているところが違うというだけ。南アフリカで製造され途上国向けに販売されているとの事。私はケニアのナイロビで購入した。1ダース12錠入りで3,000ケニアシリング(約2,700円)だった。副作用もなく、マラリアには掛かることなく旅を終えることが出来た。
マラニール購入場所
New Kenya Lodgeというケニアのナイロビにある有名な宿(地球の歩き方やロンプラにも記載あります)がダウンタウンのRiver RdとLatema RdがT字で交わる地点にある。そのニューケニアロッジを背にLatema RdをTom Mboya St方面に歩いていく。Tom Mboya Stまで左手に4本細い路地がある。ニューケニアロッジから100mほどでニューケニアロッジから2本目のTsavo Rdにぶつかる。左に曲がり約30mほど歩き右手にある薬局。もしかしたらニューケニアロッジから3本目のTaveta Rdだったかもしれないが、その場合も左に曲がり30mと同様。
熱帯熱マラリア対策の予防薬の第二候補
ビブラマイシンVibramycin(商品名)
ドキシサイクリンDoxycycline(薬剤名)
ファイザーPfizer(製造元)
ビブラマイシンの金額
10錠で約40円との情報(途上国価格)
ビブラマイシンを選んだ理由
WHOがマラリア予防薬として認可していて、また副作用も軽くて済むケースが多いため。
※他の薬と比較した結果購入すると決めた薬。薬購入の際は有効期限をきちんと確認のこと。
熱帯熱マラリアかどうかの判断
熱帯熱マラリアの典型的な症状
- 1日2〜3回不規則に高熱で発熱
- 悪寒
- 頭痛
- 倦怠感
- 筋肉痛
- 関節痛
- 悪心
- 嘔吐
- 下痢などの消化器症状
- 咳などの呼吸器症状
- 潜伏期(5−14日と言われている)
これらの典型的な症状から判断する。しかし、ほぼ間違いなく高熱を伴うので38度以上でたら病院へ行くべきだろう。マラリア以外の病気でもとにかく熱が伴うことが多いので高熱が出たら病院に行くべきだ。
発熱の経過を見ることはマラリアの判断基準になるので熱の経過をメモしておき医師に伝える。マラリアかどうか自己判断は禁物。マラリアは病院の検査にて体内のマラリア原虫が確認されて初めてマラリアだと判断できる。
マラリアは熱が上がったり下がったりを繰り返す。熱が下がったから大丈夫だろうという判断は命取りになる。熱帯熱マラリアには発熱の規則正しい周期はない。とにかく38度を越えたら病院へ行くと決めておく。
熱帯熱マラリア対策の治療薬
治療は医師の治療が基本となるが、すぐに診てもらえない場合などは、医師の治療前に自分で治療を開始しなければならない。これはスタンバイ治療と呼ばれている。
熱帯熱マラリアの発症後24時間以内に治療を開始できるかが重症化を防げるかの境目となるよう。3度目の高熱は大変危険といわれている。
熱帯熱マラリア対策の治療薬の第一候補
コアルテム Coartem(商品名)
Atemether-Lumefantrine(薬剤名)
ノバルティスファーマNovartis Pharma(製造元)
コアルテムの金額
1回治療分で約600円との情報(途上国価格)。
コアルテムを選んだ理由
WHOがスタンバイ治療薬としてトップ推奨している。この薬に耐性を持っているハマダラカが少ないと言われている。
熱帯熱マラリア対策の治療薬の第二候補
マラロン
マラロンを選んだ理由
なんらかの事情でコアルテムが飲めなかった場合、もしくはマラロンを予防薬として使用しなかった場合にのみ。基本はコアルテムを使用。
※他の薬と比較した結果購入すると決めた薬。薬購入の際は有効期限をきちんと確認のこと。
熱帯熱マラリア対策の病院選び
熱帯熱マラリア対策として病院のリストを作成する
このようなリストをつくっておくと安心だ。
- 病院名
- 住所
- 病院の地図
- 病院までの交通手段
- 電話番号
病気になってから病院を探していては遅いし、体調が悪い時は判断が鈍ってしまう。日本語が通じるかもしくは英語が通じる病院を選ぶ。
体調が悪くても大きな病院まで行くとあらかじめ決意しておく。小さい町医者で妥協してしまうと新たな危険が考えられる(誤診、血液感染など)。大きな病院まで時間がかかる場合でもスタンバイ治療をしっかり行い我慢してたどり着くようにする。また、現地日本大使館の医務官に相談するのもいい。
以下のサイトで各国病院情報が探せる。
外務省 在外公館医務官情報 世界の医療事情
熱帯熱マラリアで病院の医師と対面した場合
出来るだけ詳細に情報を伝える
このようなことはメモしておく必要がある
- 入国日
- 服用していた予防薬
- 服用した治療薬
- 初期の症状から今までの経過(詳細な症状と発生した時間)
- 訪れていた地域
現地の医師は先進国とは違うと事前に自分に言い聞かせておく。アフリカならば大きな病院でもしっかりと検査しないで判断されたりすることがあるだろう。あらゆる情報を提供し、それに関心を示さないような病院、医師なら疑うべき。
熱帯熱マラリアで入院
医師に全てをゆだねない
自分の命は自分で守るという意思をしっかり持っておく。医師に文句を言うということではなく、疑うことが大切。
自分がどう診断されてどう治療されているかは知らなくてはならない。検査結果のデータと投与している薬の名前は必ず写真に撮る。また治療を開始した後も自分で経過をメモしておくのを忘れないようにする。
第三者に確認
治療法がおかしいと感じた場合、もしくは感じなくても心配な場合は日本大使館か日本の医師に相談する。その際ネットの質問サイトを利用することができる。試したことはないが数千円ほどで専門医が質問に答えてくれるというものだ。
医師の以前の回答に対する評価などもされていて、また無料ではないので信頼できると思う。少なくとも現地の医者に質問するよりは正確な情報を得られるはずだ。今までの経緯と今の症状そして現地医者の治療について出来るだけ詳しく書き質問する。
またここでも現地日本大使館の医務官に相談という手もある。現地の病気のことには詳しいはずだ。
以下が質問サイト
ジャストアンサー医療
熱帯熱マラリアで入院中は安全管理に念を入れる
マラリアもしくは他の病気にかかり病院を訪れた場合、英語での会話が予想される。必要な単語はあらかじめ用意しておく必要がある。病気になりつらいときに英語に翻訳する余裕はないだろう。誤診につながる。
病院で必要な英単語の印刷物を持ち歩く
以下のような英会話用語集を印刷して持ち歩くといいだろう。英語の通じない病院には行かない方がいいだろう。
ジェイアイ傷害火災保険・ケガ病気の英会話用語集
熱帯熱マラリアの簡易検査キットは鵜呑みにしない
マラリアを自己で判断できる検査キットも存在するが私は個人的には意味がないと思っている。医療機関ですら100%正確な診断ができるわけでもないので、検査キットを鵜呑みにするのは危険。とにかく高温で発熱したらスタンバイ治療を開始するべき。そのためにも日本で受けれるマラリア以外の病気のワクチンは摂取しておくべきだろう。
すぐに治療を受けれない状況はなるべく避ける
コンゴ川くだりやキリマンジャロに登るなどのすぐに病院に行けない状況を作るのは危険だ。どうしても行きたい場合は、アフリカ最初の目的地にして10日以内で帰ってくるなどマラリア発症前に済ませておくのもひとつの手となる。
海外旅行保険には必ず加入しておく
保険にも必ず入っておく。治療費を気にしていたら判断を誤ると自覚するべきだ。
熱帯熱マラリア対策は徹底的に
熱帯熱マラリアは命にかかわる危険な感染症なので、とにかく徹底的に対策をした方がいい。この情報はあくまでも参考程度にしてもらい、自ら情報をかき集め頭に叩き込んでほしい。
それでは良い旅を。
熱帯熱マラリア対策の参考WEBサイト
アフリカを旅する前にこちらの記事も参考にしてください