悠々自適はきちんと働いて世の中に価値を残した人だけが、本当の意味の悠々自適をできるのだと思う。
村上春樹のエッセイを読んでいて、その登場人物に「元祖スタイリスト」と言われる村上春樹の友人が出ていたが、その元祖スタイリストは熊本に帰郷し、チェロと園芸を楽しんでいるのだという(なんと優雅)。
そんなことを心から楽しめる人は、きっと世の中にきちんと価値を残せたから、世の中にその人の能力を発揮して価値を残せたからできるのだと思った。
例えば宝くじが当たって南の島に行ったところで、本当の心の解放は得られない(というか宝くじにあたった人はもれなく不幸になるというが)。悠々自適をしてもプラスマイナスでマイナスにならないくらい世の中に貢献した人が、悠々自適を本当にエンジョイできるのだと思う。
本当の自由とは、自分の力で勝ち取らなければならないのだ。
自分が一番よくわかっているからごまかしはきかない。ごまかしても本当の意味の自由は得られないし、そもそも自由とは自分の心のありようなのだから、ごまかして得られるものであるはずがない。自分が一番、悠々自適をやっていいかわかっているのだ。世の中に十分に価値を残したと思えてこそ、悠々自適が可能になる。ただ金があればできることではない。
