旅は移動すること、未知なるものに飛び込むことを言う。移動や未知なるものとは決して物理的な意味だけではない。
旅人はきっと旅先で素晴らしい場所に出会う。そしてその場所を愛して、住み始めた時点でその人の旅は終わる。
旅は居場所を探す行為ではない。自分を探す行為でもない。居場所を探したり、自分を探している人には住み着きたい場所がやがて見つかる。落ち着きたい場所が見つかる。そして落ち着く。
旅が終わらない人は純粋な好奇心でしか動いていない。枯れることのない好奇心をもつ旅人は動き続けるし、知らない世界に飛び込み続ける。
旅人であるために旅を続けるのではない。旅人でありたいから旅を続けるわけでもない。旅人に憧れるから旅を続けるわけでもない。旅をしたいから旅を続ける。
好奇心には「技術を高めよう」とか「人の役に立とう」というような立派な目的はきっと存在していない。やりがいもあるわけではないし、社会的な存在価値はもちろんお金が稼げるわけでもない。人から「すごいですね」と尊敬されるとか、女性からモテるとか、そんなことよりも優先してしまうものだ。好奇心が邪魔だと思うことになるかもしれない。しかし好奇心をコントロールすることは可能だ。どうコントロールしたいか、ということだと思う。殺すか生かす(活かすとは大きく異なる)かも自分次第だ。