時間がくねくねしてなくてよかった

答えは人それぞれですが、何かを考えるきっかけになるようなブログを目指してます

中国湖南省永州

午後4時頃に広州南駅を出発した高速鉄道は午後7時半頃に湖南省の栄州に到着した。気温は11度と香港や広州と比べて大きく下がった。駅前は何もなく、恐らくは労働者のための宿や食堂や雑貨屋があるくらいで、地方都市駅の寂れた感じがした。駅のすぐそばに合った食堂に入る。入り口は開けっ放しで、容赦無く冷たい風が店内に飛び込んでくるような場所だった。しかしその食堂は賑わっていて、モクモクと湯気を立てながら麺をすする中国人で溢れていた。すでに食堂にいた親父が食べていたのがうまそうだったので同じものをくれとジェスチャーで伝えた。豚の耳と唐辛子などが炒められたものだった。湖南省の料理は辛いものが多いと聞いていたが、その通りで汗をかくほど辛い料理だった。しかし舌が痺れるような嫌な辛さではなく、絶妙な味付けと、強い火力で炒められたと思わせる熱さを保っていた。ビールとライス込みで25元、約380円だ。宿は探すまでもなく、食堂のすぐそばに合った。部屋は最低限寝れるといった程度だった。限りなく遅いWifiは拾えたがほとんど何にも役に立たなかった。88元、約1300円だ。なんとか寒さを凌いで眠りについた。

 

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豚の耳と唐辛子を炒めた料理

 

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永州駅そばの宿

 

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地方都市の寂しく薄汚れた宿だ


翌日、目的地としていた湖南省の洪江古商城行きのバスを探しにいった。駅のすぐそばにバスターミナルがあったので、そこでたむろしていたバス運転手連中に洪江古商城と書いたメモを見せた。何か中国語で話してくれるのだが当然さっぱりわからない。もしも、そこにあるバスのどれかで直接、洪江古商城へいけるのであれば話は単純で「このバスだ」となるのだろうが、そうではなかったのできっと直通のバスはなさそうだった。洪江古商城とは栄州の北西約250キロに位置する昔の建造物が多くが残されているという場所だ。栄州と同じ湖南省である。中国の無数に広がるバス路線であれば栄州あたりから行けるのではと考えていた。バス運転手連中は相変わらず中国語を喋り続けるが、わからないのでメモに書いてくれと頼んだ。すると、栄州北ターミナルがありそこからバスが出ている、と読み取れるような文章だった。そのバスターミナルまでのバスはこれだと言わんばかりにバスを紹介してくれたので乗り込むことにした。運転手はその連中の中でも若いやつだったが、何度も念を押して着いたら教えてくれと頼んだ。その路線バスは急発進急ブレーキを繰り返し目が回るようだった。しばらく20分くらい走って流石に気持ち悪くなり、街の中心部らしいところであったので降りることにした。


オフラインの旅も粋なもんだろうと高をくくっていたが、いい加減に面倒になってきたのでまずはSIMを探すことにした。まずは英語を喋る人間を見つけようと思った。中国の内陸部ではきっとアフリカよりも英語話者を探すのは難しいだろう。私の中での一番の秘境である中央アフリカ共和国ですら、それなりに英語話者を見つけることができたのだから。英語話者とまでいかなくてもハウマッチくらいは理解してくれる人もそれなりにいた。しかし中国は英語を理解する人が圧倒的に少ない。10年前に来た時もい思ったが、地方都市ではまだ少ないようだった。銀行を見つけたので入ることにした。銀行の職員であれば英語は喋るのでないか。ウィーンと自動ドアをくぐり、目に飛び込んできた受付のお姉さんにエクスキュースミーと話しかけた。無反応だったが、中国語で何か言うと他のお姉さんが登場した。少し英語が通じる女性で、SIMカードどこで買えるか聞いてみた。するとここから歩いて3分くらいのところにBingjiang Schoolという学校があるのでそこで手に入るという。これは話が通じていないかの知れないと思っていると、さらに他のお姉さんが登場した。とても綺麗な人で、この人にもう一度SIMカードについて聞いてみた。どこで買えますかと。するとNOという返事が返ってくる。質問を変えて、あなたはどこでSIMを手に入れましたかと聞くと初めの女性が言ったように学校だという。恐らくは学校の構内で販売でもしているんだろう。しかしきっとその学校の学生であれば購入できるだろうが、外国人がその学校でSIMを購入できるとは思えなかった。他で聞いてみることにして、その綺麗な人に「SIMカードを買いたいです」と中国語で書いてもらい、銀行を出た。すぐにタクシーを拾いそのメモを見せた。すると車を走らせること3分、CHINA MOBILEに到着。これほど目立つ場所に目立つ看板でSIMを購入できる場所があったのになぜ学校と言ったのか疑問であった。しかし、SIMを購入したいと携帯ショップの店員に言うも、中国人がいつも持っているIDを提示してくれと言う。外国人だからパスポートで頼むといっても受け付けてくれないのだ。きっと店や対応してくれた人によって異なるのだろうが、いい加減インターネットのために時間を使っているのがバカらしくなり、早々とその店からは退散した。


すぐにタクシーを拾い洪江古商城行きのバスが出ているという北ターミナルという場所へ向かった。そこから10分ほどで到着。早速窓口へ向かい洪江古商城行きのバスチケットを購入しようとする。すると、窓口脇にあったIDのサンプル画像を指差してIDの提出を求めてきた。パスポートを提示してようやくチケットを購入できると思ったら、なんと首を横に振るではないか。香港からはるばる列車を乗り継いで湖南省まで来て、あとはバスに乗るだけだと思っていたのに、そのバスに乗れないとは。しかしパスポートを提出して首を横に振られてはもうどうしようもなかった。でもやはりしつこく食い下がっていると、その受付の女性は私のパスポートと共に席を立ちどこかへいった。恐らくは奥にいる上司にでも確認したのだろうが、やはりダメだったようで首を横に振られた。すっかり意気消沈した私はすぐにタクシーを拾い元来た道を戻り始めた。